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痩せるコーラ

自分が考えている事をまとめます。毎週木曜21時更新(予定)

秦の始皇帝に学ぶ大塚家具問題

大塚家具と韓国財閥

大塚家具の一連の世代交代の問題が決着した。
マスコミが面白おかしく「華麗なる一族」のような家族内の闘争に置き換えていたがなんてことない。
創業者のワンマン経営者(父)から次世代(娘)への滑らかな移行に失敗しただけである。
要はバトンの渡し方がクソ下手だった。それだけ。

www.asahi.com


同族経営だからこういう事が起きるんだ。」
と思われがちだが日本の企業の9割は同族経営である。(トヨタ等)
また世界的にも100年以上続いてる有名企業はルイ・ヴィトン等、同族経営が多い。
後継者を探すの大変だし、子飼いの社員が納得できる人選として創業者の子息はベターな選択肢だしね。

時を同じして海の向こうの韓国でも財閥御曹司がナッツリターン問題を始め、様々な問題を起こしている。
雇用環境改善を訴える社員を財閥御曹司の役員が個室に呼んで
「バット殴打 一発100万ウォン」
でボコボコにリンチして殴った分の小切手を切ったというエピソードがあるくらい。
マガジンのヤンキー漫画のイヤミなボンボンかよ...。
スケールが違うね。韓国。

www.gruri.jp



大塚家具の場合はこれから2代目、韓国の場合は3代目だが
同族経営の企業はだいたい2,3代目で潰れる事が多い。

この事は同族経営(ファミリービジネス)に詳しい武井一喜氏も指摘している。

同族経営はなぜ3代で潰れるのか? ファミリービジネス経営論

考えてみれば歴史的にも殆どの王朝・政権は2,3代目で潰えている。
代表的な人物だとアレキサンダー大王、豊臣秀吉、秦の始皇帝、等である。

なぜ絶大な権力を持っていながら、すぐに滅亡してしまうのか。

今回の大塚家具のパターンに比較的近い、秦の始皇帝のケースと比較してみてみよう。

始皇帝と帝国の滅亡

秦の始皇帝は500年に渡る中国の戦国時代を終わらせて、天下統一した英雄である。
「始めて皇帝になった人」だから「始皇帝」。そのまんま
詳しい話は漫画「キングダム」を読もう。

キングダム 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


統一から何年王朝が続いたか、というとたった15年である。
つまり同時多発テロくらいにアメリカくらいの巨大な国が誕生して今ぐらいに滅亡したという事。
一瞬だけど閃光のように。

なぜこんなに早く滅亡してしまったのか。
簡単に言うと「始皇帝が死んだ」のである。
しかも死んでから4年後には滅亡。はえーよ。

という事は2代目がかなりのヘマをこいた事になる。
事実、2代目は毎日酒を浴びるほど飲み、美女に囲まれ全く政治をしなかったらしい。

始皇帝ほどの英傑がどうしてそんなクソみたいな奴を後継者にしたのか。
実は始皇帝が選んだのは別の人物だった。

2人の息子

秦の始皇帝にはたくさん子供がいたが、有名な二人の息子がいた。
扶蘇と胡亥である。

扶蘇は長子で後継者だった。
扶蘇は異民族と戦う指揮官等の数々の大任をこなした。
また性格も気難しい始皇帝と違い、誠実なので人望もあった。
今回の大塚家具で言う所の長子の久美子氏である。

胡亥は末子でボンクラ。
とてもじゃないが皇帝の器じゃなかった。
どんな書物でも長所は全く書いてない。
今回の大塚家具で言う所の久美子氏の弟の勝之氏。

ネットだと
「体験版の長子より2番目以降の子のほうが優秀」
という意見が多いが、後継者としては歴史的には全くの逆である。

スポーツ選手等の職業は2番目以降のほうが向いてるかもしれないが
ある程度巨大になった組織では後継者としての王や経営者は慎重で合理的思考な傾向にある長子のほうが向いている。
大塚家具もまさにこの典型的パターンだった。

tabi-labo.com


秦の始皇帝の場合、誰が後を継いだか。
実は末子でボンクラの胡亥である。
2代目皇帝になったのはこいつである。

大塚家具の場合も親父が弟のボンクラに継がせようとした。
なぜこのような奇妙な後継になったのか。

 

2代目選定の理由

まず扶蘇始皇帝死亡時に始皇帝の側にいなかった。
いなかった理由としては、

庶民「秦一国規模なら良いかもしれないけど中国全土で中央がなんでも決めるのは難しくね?」

儒学者「中央の法律緩めて、ある程度地方自治推進すべきだと思われます。」

始皇帝「うるせー!いままでこれでやってきたんだ!テメ―ら殺すわ(焚書坑儒)」

扶蘇「お父さん。確かに中央の法律だけの運用は難しいので地方自治させた方がが良いと思いますわ。」

始皇帝扶蘇!オマエはまだ仕事がわかってない。ニューヨーク支社の社長に任ずるから修行してこい!

と怒りを買って遠地に飛ばされたからである。


おそらく始皇帝が遠地の大任に異動理由としては

  • 後継者に経験を積ませたい
  • 側近の思想の純化

という2点があったのだと思う。

後継者に経験を積ませたい

分社や別会社の社長・取締役の大役を後継者にやらせる事はよくある。
ここで駄目だったら後継者選びをやり直せばいいし、後継者にも良い経験になるからだ。

大塚家具の久美子氏も社長になる前に別会社(フロンティア・マネジメント)の取締役をやってる。
父・勝久氏としても一旦経験を積ませたかったのだろう。
正しい判断と言える。

ただ、いざ継承する時に後継者が中央の経営陣にいないと側近が何かやらかす可能性がある。
この事は後述で記載する。

側近の思想の純化

後継者を選んで数年経つと後継者も一定の地位を得る。
そうなると後継者にも数多くの部下がつく事になり、創業者とは別に後継者の派閥が出来る。

たいてい創業者派閥は
「今までこれでやってきたんだから。これからもこの路線を続けるぜ!
という守旧派である。

対照的に後継者派閥は若手中心なので、現体制への疑問を数多く持ち
「今までのこのやり方、もう時代に合わなくなってきてるから変えない?」
という革新派になる。

ここで創業者派閥と後継者派閥が対立する事になる。

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同様の事例は
平家の平清盛VS平重盛 
毛利家の毛利元就VS毛利隆元
などでまさにこれが起きていた。

大塚家具の場合は
「これからも会員制を続けてくんだ派」
VS
「個人情報を書かせる会員制とか時代遅れだよ派」
で対立していた。

古代中国「秦」の場合は
「これからも中国全土を中央から法律で運用するだ派」
VS
「法律を緩めて地方自治を認めた方が運用上手くいくよ派」
で対立していた。

対立した場合どちらが強いかというと役職が上の守旧派である。
役職が上の理由としては創業時からずっといる重臣だからである。
関羽張飛みたいな感じね。

なので保守派がしばらくは幅を利かせる。
トップの創業者も長年の経験から守旧派の思想になりがちなので、側近の純化を図るのである。
こうして守旧派は革新派を抑え込んでいるのである。

しかしいざ後継者が変わる時、革新派が権力を握る。
そうなる時に問題が起きやすい。

世代交代初期に起こる問題

トップが後継者に継承する際には守旧派はまだ経営陣にいる。
しかし時代に合わせたやり方をする後継者社長についていけず、だいたいは首を切られる。

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こうなった際に守旧派がやる事は何か。
「自分達の言う事を聞かないトップなんていらない!」
である。

秦の場合は始皇帝は死ぬ際の遺書に
「後継者は扶蘇(長子)」
とハッキリ書いたにも関わらず死後、側近に遺書を隠されてしまった。

つまり守旧派が自分の地位の保身の為に革新派の後継者に後を継がせないように工作したのである。
ここからやる事はもうワンパターン
「俺たちの操り人形になるくらいのアホにトップやらせるわ。置物作るよ!」
という行動。

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かつ後継者が継承する時に経営陣に参画していない場合これが顕著になる。
次期トップが外からやってくる事になる為、抵抗が強い。
秦も大塚家具もこのパターンだった。

こうして末子でボンクラの胡亥がトップになったのだ。
ちなみに長子の扶蘇は死ぬ事になる。

大塚家具もまさにこの構図。
父・勝久氏も久美子氏を社長に指名したので正式な後継者と考えていた。
しかし長子の久美子氏が社長になったら、守旧派の立場がどんどん悪くなっていくのでセミリタイヤしてた創業者の父勝久氏を頼ったというカラクリ。

そして目をつけたのが
「俺たちの操り人形としてちょうど良い素材」である
弟の勝之氏。

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こうして、巨大帝国が4年で滅びるようなクソ経営陣が出来ようとしていた。
株主によって崩壊したけど。
株主ナイス判断すぎる。

まとめ

父・勝久氏は何をすれば良かったか。
素直に後継者に決めた久美子氏をサポートすればよかったのだ。
そこをかつての側近達の陳情を突っぱねない所に甘さがあった。

つまり歴史上の秦や今回の大塚家具から学ぶべきところは

  • 経験を積ませるために外部に出すのはいいが、継承時には手元に置いとくべき。
  • 先代は継承し終わったらかつての側近よりも後継者の味方をすべきである。
  • 守旧派の経験は使える場面もあるので上手くフェードアウトさせるべき。

という事ある。

また歴史から学んでしまった。
歴史は繰り返す。

秦の始皇帝 (文春文庫)